はだ農園

針尾汐風みかん



葉面散布を使いこなしてどんな生育状況にも対応しよう!~継続は力なり、葉面散布は対話なり~

こんにちは!はだ農園です。

今回はtabo研究所ということで『葉面散布』についてお話ししようかなと思います。葉面散布は100年程の歴史があり、初めは1920年頃に海外で微量要素欠乏の対策として使用され始めました。それから1940年頃には三大要素である窒素・リン酸・カリウムの散布も始まりました。日本では1955年頃から広まりだし、1961年には法律で正式に葉面散布剤として肥料にも認定されるようになりました。今では収量・品質を上げるためにほとんどの農家さんが使用されていると思います。

ただ、今でも農家さんによって葉面散布への考え方が大きく違うように感じます。『葉面散布の可能性を信じきれていないそこのあなた!!』葉面散布は化学的にも証明されている歴とした栽培技術です。作物のポテンシャルを最大限に高めるためにも理解を深めてもう一段階上の農家を目指しましょう。(という私もまだまだ未熟者なんですがね(笑)。)

それでは参ります。

葉面散布の考え方

そもそも葉面散布にはどういった効果やメリットがあり、どう使うのがいいのでしょうか。葉面散布の基本的な考え方と目的をまとめてみました。

即効性

葉面散布の最大のメリットとしてよく上げられるのが『即効性』です。葉面散布剤を葉に直接散布することによって、土壌に与えて根から吸収される場合よりもはるかに早く植物内へと浸透していきます。つまりは効き目が早いと言うことです。また、根から吸収されにくいものや吸収できたとしても時間がかかる栄養素もあるので、それらを葉面散布で補うという考え方もできます。

根からの吸収で言うと化学肥料で数日、有機肥料でしたら1週間以上かかります。それに、露地でしたら雨が降らないと浸透していきませんし地温が下がると吸収率も下がります。それに比べ葉面散布は数時間で植物内に浸透して作用し始めます。短期間で思い通りの量を与えられる計算しやすい技術と言えます。

2つの目的

葉面散布には大きく分けて2つの目的があると思っています。1つは栄養剤(肥料)として作物の生育や健康状態を保つ目的、もう1つは促進剤(補助)として光合成や植物ホルモンの良好な循環を促す目的があると思います。まぁ細かく言えば、葉面散布を行うと言うことは最終的には栄養剤と促進剤のどちらにも関わってくるのですが、大事なのは自分が作物に対してこうなって欲しいという意思を葉面散布で表すことだと思います。

葉面散布によって作物に求めることはたくさんあります。例えば、樹勢回復、緊急処置、成り疲れ防止、光合成促進、徒長防止、花芽分化、品質向上など生育状況や環境によって目的は変わってきます。なんとなくの葉面散布ではなく使用目的を明確化することによって意識が高い葉面散布ができるようになります。効き目が早い葉面散布だからこそ使い分けができると大きな武器となりますよね(^^)v

主食ではなくあくまでサプリメント

ここまで葉面散布の考え方をお伝えしてきて、すごく画期的なものと思われるでしょうが、葉面散布は作物を作り上げる上であくまでも補助的な役割だということを前提としています。人の食事で例えるなら、ご飯やパン、おかずなど主食となるものが作物で言う元肥や液肥(潅水で下から入れるもの)となります。葉面散布は人で言うサプリメントにあたります。摂取しなくても生きてはいけるが摂取した方が健康維持や疲れにくい体になりやすいと言ったところでしょうか。

ですからそう考えると主食ほど多くの栄養を1度に取り込むことはできないですし効き目は早いが持続性はないということになります。サプリメントは定期的に摂取してこそ本来の効果が得られますよね。葉面散布も一緒です。高濃度のものを単発で一気に植物内に入れようとするとものによってはバランスを崩して生理障害を起こします。最悪の場合、作物が枯れたりすることもあります。

葉面散布はあくまでも作物の成長をサポートするするために定期的におこなうものだと言うことですね(^^)v

葉面散布と相性がいいもの

特徴が分かってきたところで葉面散布と相性のいいものを紹介していきたいと思います。どうせ散布するなら最大限に活かしたいですよね(^^)v

有機物

肥料については前にブログで説明させてもらいましたが、土に散布する場合に有機肥料は化学肥料と違い根から吸収されるまでに時間がかかります。それはすぐ根から吸収できるように設計された化学肥料と違い、微生物による分解など根から吸収するまでに多くの過程を踏むためです。ただ有機質のものは自然由来のものなので植物にとってはストレスなく受け入れられるものです。そこで、有機質の土から与えると効き目が遅いという弱点を補えるのが即効性に優れた葉面散布になります。有機質なものでも直接植物に当てることによって素早く植物内へ浸透させることができます。

土から与える遅効性の有機質と葉から与える即効性の有機質を併用することで安定した有機質肥料だけの栽培も可能となります。

微量要素

微量要素は作物の生育に欠かせませんが名前の通り微量で足りることから微量要素と言われています。微量要素は全部で8種類あるのですが、それぞれを使い分けるというよりは「微量要素」という枠でまとめてかけることが多いですし、その方がバランスがいいとされています。

葉面散布の始まりが微量要素からであるように少量でサッと効かせるという意味では葉面散布に向いていると言えます。微量要素は作物に大事なもので定期的に補充することをお勧めします。不足していると色んな欠乏症と関与してくるので作物の成長が悪くなります。

分子が細かいもの

葉面散布はほとんどが葉の裏の気孔から入る(正確に言えば気孔の隙間から入る)ので、単純に葉面散布剤の分子が細かいほど植物内に取り込まれやすくなり吸収率が高くなります。例えば、通常のリン酸やカルシウムといったものを散布するより葉面散布に向いているものとしては発酵リン酸や有機酸カルシウムなど発酵や溶解の過程を踏むことで分子が小さくなっているものがより吸収されやすく即効性が高くなります。人の食事で例えるならごはんを食べやすく、消化しやすい『おかゆ』にするみたいなものです(^^)v

葉面散布の上手な使い方

葉面散布は即効性に長けていますが、うまく吸収できなかったり使用方法を間違えてしまうと持続性がないのであまり意味がないものとなってしまいます。最大限に効果を発揮するために効率のいい使い方をしましょう。

種類を選別する

現在、葉面散布剤はたくさん販売されており成分や濃度、価格も様々です。しかも毎年いくつもの新商品が出ていますので使う側としては選ぶのは大変な作業となります。口コミやメーカーさんからの説明を受けたり自分の畑で試してみたりして選んでいくのですが、その時に自分なりの選び方の基準を持っておくと選びやすくなります。

おススメの選び方としては成分が重なっているものはなるべく1つに絞った方がいいです。数が多くなると使いづらくなります。そして効果について試すときは野菜への散布で調べてみて下さい。果樹と違い成長速度が速いので効果が分かりやすいです。私は家庭菜園なんかで試しています(^^)vあと大事なのは自分の基準を決めることです。私の場合、①有機質 ②分子が小さい ③糖分 ④リン酸、カリウム ⑤カルシウム ⑥微量要素 ⑦アミノ酸 ⑧海藻エキス  これが絶対条件です。ちゃんとした理由はありますが省かせてもらいます(笑)。条件を出すためには知識が必要となってきます。こればっかりは勉強するしかないですね。勉強して理解して組み立てて、自分なりの基準を作りましょう。

葉面散布剤にはこれさえあれば全てがうまくいくなんていう魔法のようなものはありません!そんなのあったら教えて欲しいぐらいです(笑)。ないからこそ日々、新しい商品が出ているわけですからね。なので、普通は数種類を使い分けます。ここで気をつけて欲しいのはなるべく種類は絞ることです。多くても7種類、できれば5種類ぐらいがベストだと思います。毎年コロコロ葉面散布剤を変える人がいますが、それでは何が効果があって何が効果がないのか分かりません。特に果樹では1、2回かけたぐらいじゃいいかどうかの判断は難しいと思います。せめて年間通して使わないと見えないところがあるはずです。なのでベースの数種類を基本として新しいものを少し試してみるという形がいいと思います。

濃度を変える

種類を絞ることをお勧めしましたが、それじゃ目的によって臨機応変に対応できないと疑問を持った方もおられるんじゃないでしょうか。その場合は『濃度を変える』ことでだいたい解決できます。規定量の中で濃度を濃ゆくしたり薄くしたり、それをベースの葉面散布剤で行います。料理の味付けみたいなものですね(^^)v

例えば私はみかんの収穫後の葉面散布では年内の3回は全体的に濃度を高めて樹勢回復と光合成促進を意識した葉面散布を行います。年が明けてからは同じ資材でも資材ごとに濃度を変えて花芽分化の形成や強い芽を出すことを意識した葉面散布を行います。

葉面散布は環境や生育によって使い方が違ってきます。だからこそ、種類を絞ることで植物に与える影響を的確に見極め質の高い葉面散布ができると思っています。

天候を見極める

葉面散布を行う上で天候を読むことはとても重要になってきます。曇天が続くと予想される時や曇天が続いている時、冬場で気温が低く根の活動が鈍い時(14℃を下回ると根の動きが鈍る)など葉面散布が最大限の効果を発揮します。天候が悪くなったり、寒い日が続くと低下するもの・・・そう『光合成』です!光合成は植物の生命を維持するものであり作物の品質・収量に大きく関わってくるものでもあります。

どうしても日射量が低かったり寒くて根が動かないと光合成能力が低下してしまいます。それを葉面散布で補ってあげるイメージです。作物が健全であるということは光合成がしっかりできているということです。葉面散布のサポートで光合成能力を高めましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はあえて数字やデータを出さずに葉面散布の重要性を自分なりの考えや言葉でまとめてみました。私もそうでしたが農業を始めて間もない頃は葉面散布と聞いてもやらないよりはやった方がいいとか時間があればやろうかなぐらいの意識しかありませんでした。今思うとそれは私が作物に対しての知識や情熱があまりなかったからだと思います。次第に試行錯誤を重ね作物に対して向き合うようになりそれなりのものができるようになりましたが、何か物足りなさを感じていました。大きな基盤はできてきたが要所での繊細なコントロールに欠けている気がしました。そこで改めて葉面散布での可能性を見つめ直し、少しではありますが私だけの味、作物を作れるようになってきました。

作物は話してもくれないしコミュニケーションをとるにはこちらから歩み寄るしかありません。その歩み寄る方法として葉面散布は大事な役割を果たしてくれます。散布したからといって劇的に変わることはないですが、与えたものは確実に作物の中に浸透し何かしらの形で返事をしてくれます。健康的な樹でおいしくてきれいなものを作るためには作物からしつこいと思われるぐらいの姿勢でありったけの愛情を注がなけばいけないんでしょうね(^^)v

質問や感想がありましたら是非コメント欄へお願いします。

それでは、また。


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