こんにちは、はだ農園です。
最近インスタグラムを始めて、Facebookを辞めて以来止まっていた私のSNSの時間がまた動き出しました。友人たちとの出会いや今を知ることができて非常に楽しめています(^^)v
また全国の素晴らしい農家さんや農業に興味のある方、サポートをして下さっている方とも多く関わることができ日々刺激をもらっています。
さて今回は『微生物』についてお話ししていこうかなと思います。あまりにもスケールが大きすぎてどこから話そうか悩むほど微生物とは生命というものに深く関わっています。生き物が生きていくうえで恩恵を受けることもあれば損害を受けることもあります。
生き物と微生物は『共存』しながら多くの時間を過ごしてきました。全てを話すことはさすがに私では難しいですので、微生物についての基本的なことと農業でよく活かされている微生物をご紹介していきます。
それでは参りましょう。
そもそも微生物って何?
微生物とは特定の生き物の名称ではなく、目に見えない小さな生き物、または何とか見えるが細部までは分からないものを総じて微生物と言います。地球上にどのくらいの数が存在するのかというと、その答えは『分からない』と言えます。数の多さもそうですが、まだ未確認の微生物も数多くいると言われているのでその数は予想できるものではないみたいです。
人の体内で言うと微生物の数は100兆個を超えると言われています。途方もない数ですよね。細胞の数が37兆個と言われているのでおよそ細胞の2.7倍となります。
それでは微生物の種類と特性の一部をご紹介します。

大きく分けて4種類
微生物はまず、細胞からできている細胞性微生物と非細胞性微生物に分けられます。ほとんどが細胞性微生物であり、非細胞性の微生物は『ウイルス』と言います。ウイルスと言えばあまりいいイメージはありませんよね。インフルエンザウイルス、アデノウイルス、そして今流行っているコロナウイルス、これらも微生物になります。これらは人にとっては損害を与える微生物となります。ちなみに、ウイルスは微生物の中でも1番小さい微生物です。1mmの1000分の1が1μm(マイクロメートル)で細菌や真菌や人の細胞の大きさの単位となります。そこからさらに1000分の1したものが1nm(ナノメートル)で、これがウイルスの大きさの単位となります。
1000分の1細胞性微生物は3つに分類されます。リン酸の説明をしたブログで少し触れましたが細胞には『核酸』というものがあります。核酸は遺伝やエネルギー体として生き物の大事な役割を果たしています。その核酸を包む『核膜』があるかないかで分類されます。
核膜がある方として真核生物の『真菌』や『原虫』、核膜がない方として原核生物の『細菌』があります。
真菌はカビなどの糸状菌やアルコール作りに必須な酵母菌、そしてキノコなんかも真菌にあたります。キノコって野菜とかじゃなくて微生物の集合体なんですよね(^^)v真菌は人に恩恵をもたらすものも多くありずっと昔から共生してきました。
原虫は少し大きめの動物的な微生物のことを言います。アメーバは別として、マラリアやトキソプラズマなど寄生虫と言われる微生物です。生き物に重度の障害を与えることもあり損害が多い微生物と言えます。また原虫は賢いため宿主の免疫をすり抜けることがあり、ワクチンや治療薬がほとんど開発できていません。厄介な微生物ですね。
核膜がない原核生物には細菌がいます。ヨーグルト製造に必須の乳酸菌や人の大腸に生息する大腸菌などがあります。真菌と一緒で人に恩恵をもたらしてくれる微生物がいる一方で大腸菌などの一部では食中毒を引き起こす原因になるなどマイナスな一面もあります。
発酵と腐敗
皆さんは発酵と腐敗の違いってなんだと思いますか?
食べれるか食べれないか、臭いか臭くないか、成功か失敗か、様々な意見もあると思いますが微生物側からすると『一緒だよ!』ってことです(笑)。つまり発酵と腐敗は人側が作った基準であって微生物には当てはまらないということです。
例えば、乳酸菌を使ったヨーグルトや納豆菌を使った納豆などの発酵食品は製造過程で発酵し商品化されます。しかし、微生物が発酵を続けて消費期限が切れると人には食べられないものとなります。それが腐敗です。ですが微生物は初志貫徹でずっと発酵し続けているのです。このように発酵と腐敗は表裏一体であり、微生物にとっては同じことなんです。
日本は世界で1番の発酵文化が優れている国です。それは発酵と日本食が密接な関係にあるからです。現在、日本食は世界で共通語になるほどその名を広めてきています。日本食の美しさ、繊細さ、そしてなにより味わいの深さが多くの人々を魅了するからでしょう。味わいの深さ、つまり『うま味』には微生物による醸造、発酵も一役買っています。
醤油、みそ、麹、ぬか漬け、鰹節、塩辛などあげだしたら切りがないです。どれも微生物の醸造・発酵でうま味が凝縮されているものばかりですよね。アルコールもそうです。ビール、ワインはもちろんのこと日本食には欠かせない日本酒や焼酎も微生物がないとできません。
微生物の正体が詳しく分かる前から日本では微生物を感覚的にコントロールして食文化へと活かしてきました。昔は食材を長期で保存することが困難だったので、よく食材が腐敗していました。そこに偶然が重なり塩などを使い長期保存する方法が見出されました。つまり発酵という文化は腐敗から生まれたということです。四季があり温度、湿度が目まぐるしく変わる日本だからこそ微生物による長期保存の文化が発展したのかもしれませんね。
食物連鎖のキーマン
世の中は弱肉強食の中で食物連鎖で成り立っているみたいな話はよく聞きますよね。そこにも微生物が大きく関与しています。食物連鎖というと皆さんはどんな想像をしますか?虫を小動物が食べて小動物を大きな動物が食べてそれをさらに大きな動物が食べて、最終的に大きな動物は死んで土に還り虫の餌になるという『円』のイメージではないでしょうか。
実際は『三角』なんですよね。何故かというと、それは数の問題なんです。弱者つまり食べられる側は食べる側より数が多くないと食物連鎖が成り立たないんです。ですので弱者になればなるほど数が多くなっていきます。ちなみに動物の食物連鎖のトップは『鷲』なんです。意外ですよね!鷲には天敵がいないので少ない数でも生きていけるということになります。
ここに微生物がどう関わっているかというと、わかりやすいところでは死骸の処理です。小さかろうが大きかろうが微生物は有機物質を全て分解します。死骸が腐敗して土に還るのは微生物のおかげです。他にも食物連鎖は食べらることだけで成り立っているものではありません。生きているうちに病気や事故により命を落とす生き物も出てきます。それも三角の均衡を保つ大きな要因となっています。事故は置いといて病気に関して言えば、これも微生物によるものだと言えます。
弱肉強食の世の中と言いますが1番の強者は1番小さい微生物なのかも知れませんね。
植物に深く関わる微生物
微生物は医療、酒造、バイオ、など様々分野で活用されています。農業もその1つで、微生物を理解することで農業としての基盤である『土づくり』を深く知ることができます。収量、味、農薬や肥料のコストカット、これらを調べていくと結局土づくりに行き着くんですよね。
土づくりと微生物と言えば『堆肥』となってきます。前回の堆肥のブログで微生物の話しには少し触れましたが、ここでは堆肥の発酵を中心とした話しで農業に恩恵のある微生物をご紹介していきます。

糸状菌
糸状菌は好気性微生物です。好気性微生物とは酸素を取り入れて活動する微生物のことを言います。分かりやすく言うと一般的に言う『カビ』のことです。醤油、味噌、酒を造る過程で使用される『麹』の麹菌も糸状菌の一部ですし、キノコも細かく言えばカビの一種なので糸状菌になります。
堆肥の中の作用で言うと糸状菌は堆肥の発酵に必要な微生物の中でも低温から動いてくれる菌となります。15℃~40℃が活動できる温度となります。ですので、有機物を発酵する過程で最初に動くのが糸状菌です。糸状菌にはデンプンを糖に分解したり、たんぱく質をアミノ酸に分解したりする役割があります。デンプンやたんぱく質は同じ物質が多く連結してできたものなので分解して吸収やエネルギー化しやすくするといった役目ということですね。
ただ糸状菌は高温に弱く50℃以上になると数が減っていきます。80℃を超えると死滅してしまいます。堆肥の一次発酵は通常、糸状菌などの好気性微生物の呼吸熱により60℃~70℃に上がるので糸状菌はここで一旦役目を終えます。元々、糸状菌は植物にとって損害を与える菌も多くいるので熱が上がることで数が減ることは気にしなくていいです。それよりも熱が上がるということは糸状菌がしっかり働いて分解しているという意識を持ちましょう。
堆肥には『切り返し』という作業があります。これは堆肥を定期的に混ぜるという意味ではなく一次発酵が終わると堆肥の中の酸素が薄くなって好気性の微生物の活動が弱まるために切り返してまた堆肥に酸素を含ませて微生物を活発化し、さらなる発酵を促す狙いがあります。これはまさに糸状菌のためといってもいいでしょう。
酵母菌
酵母菌は通性嫌気性菌です。嫌気性菌とは漢字からするとダメな菌みたいな感じはしますがそうではなく空気がなくても活動できる菌ということです。酵母菌の通性嫌気性菌というのは空気の少ないところでも活動できる菌ということです。まぁどこでもいけますよってことです。
酵母菌も糸状菌と同じような活動の温度で15℃~40℃を好みます。50℃を超えると数が減り、75℃を超えると死滅してしまいます。酵母菌は人にとっていいことだらけの菌です。特に発酵には酵母菌(イースト菌)は欠かすことができず、パンやアルコールは代表的なものですが、糸状菌の麹と同じように醤油、味噌など多くの発酵食品を作る上で不可欠なものとなっています。麹と酵母は発酵の原点ですね(^^)v
酵母菌の最大の特徴としては糖をアルコールと炭酸ガスに分解するという能力があります。発酵がうまくできて堆肥化できたものから甘い香りがするのは酵母菌によるものであり、逆に未熟堆肥はうまく発酵ができておらず鼻を刺すようなアンモニア臭がします。また未熟堆肥を畑に撒くとそこで分解が進みガスが発生して作物に悪影響を与えるのも酵母菌によるものです。
植物に直接的に関わるというよりは発酵促進剤として間接的な役目が大きい酵母菌ですが、その力は絶大でなくてはならない菌の1つだと言えます。
乳酸菌
乳酸菌は嫌気性微生物なので空気のないところでも活動できる微生物です。活動の適温としては20℃~45℃で75℃を超えると死滅してしまいます。乳酸菌はその名の通り乳酸を作ります。餌というか乳酸菌で発酵を促すためには糖が必要となります。糖を分解することで乳酸を作り出します。
作物に対しての主な乳酸菌の働きは殺菌作用です。雑菌つまりカビをおさえる効果があります。つまり糸状菌のことですね。作物はカビによる病害に見舞われることも少なくありません。うどんこ病もその1つです。このような糸状菌からくる病気の予防にも役立つとされています。他にも土壌改良や作物の成長など作用もあります。
納豆菌
納豆菌は好気性微生物なので空気に触れる所で活発に活動します。活動の適温としては30℃~50℃です。良くも悪くも納豆菌の1つの特徴としては非常に死滅しにくいということです。死滅温度は120℃以上を数十分保つ必要があります。まぁ死なないってことですね。なぜこんなに熱に強いのかというと納豆菌はもともと芽胞(がほう)という殻みたいなものに閉じこもっています。それが動きやすい温度になると殻から出てきて活動しだします。熱が上昇しって生命の危機を感じたら殻に戻りやり過ごすのです。さらに納豆菌は増殖力もあり生命力に溢れています。
納豆菌は堆肥ではワラから分泌されますし、納豆菌資材というものもあります。効果としては、糸状菌と似ていてデンプンの分解やたんぱく質の分解に関わってきます。また植物ホルモンを生成するのにも役立つとされています。
いいことばかりのようですが、逆に強すぎるというのが大きな欠点でもあります。微生物とは決められた密度の中で多様多種のものが混在することが1番望ましいとされています。納豆菌は強すぎるが上に微生物のバランスを崩しかねません。実際、酒造屋や食品会社によっては納豆屋の出入り禁止や製造場所に納豆を持ち込まないという話しもあるぐらいです。いくらいい菌だからといっても周りとのバランスが大事ということですね。
放線菌
放線菌のほとんどは好気性微生物で空気に触れることで活発に動きます。高温性の微生物で60℃を超えても活動を続けられます。発酵して何回も切り返した良質な堆肥は最終的に多くの放線菌を含んでいます。放線菌は糸状菌の後を引き継ぐ菌となります。糸状菌は堆肥化する上で分解に大事な役割を果たしますが、そのまま多くの糸状菌が残ると作物の病気の原因ともなります。
堆肥化するときには発酵熱で糸状菌の動きが鈍くなると同時に放線菌が活発に動き出します。放線菌は『キチナーゼ』という酵素を生成して、キチン質を分解します。キチン質とはエビ、カニなどの甲殻類や節足動物の外骨格のことです。実は、糸状菌や酵母菌の細胞壁にもキチン質があります。放線菌はこれを分解して最終的には糸状菌を抑えて病気の原因をなくしているのです。
また土壌病害虫を抑制する効果もあり、代表的なところで言うと線虫なども抑える効果があります。
まとめ
説明しながら改めて思いましたが、やはり微生物は奥が深すぎますね(笑)。まだまだ分からないことが多い微生物だからこそ興味が搔き立てられるのかもしれません。
農業に大きく関わる微生物の覚え方としては堆肥ができる一連の流れを微生物と紐づけて覚えるのが1番分かりやすいと思います(^^)v
中には微生物なんか意識してもほんとにいい作物つくれるのかとお思いの方もいるでしょう。実際に私がそうでした。分かってはいても目に見えないものだから心の底から理解するのが難しいんですよね。でも樹勢を保ちたい、食味を良くしたい、肥料・農薬を抑えたいと考えれば考えるほど微生物の存在を認めざるをえなくなりました。
長年、自然を育んできたのは微生物の力によるものです。自然の中で生まれた農業という産業は微生物と切っても切り離せないものなんだと思います。人の体もそうです。多くの微生物と共存することで私たちは生かされています。
何の偏見も持たずに微生物と向き合ったとき、そのポテンシャルに心を惹かれる人は少なくないでしょう(^^)v
質問や感想がありましたら是非コメント欄へお願いします。
それでは、また。


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