はだ農園

針尾汐風みかん



植物の必須元素を理解して農業に活かそう ~中量要素(Ca・Mg・S)編~ ~微量要素(Fe、Mn、Mo、Zn、B、Cu、Cl、Ni)編~

こんにちは、はだ農園です。

とても長いタイトルになってしまい申し訳ないです。残りの元素を一気に詰め込んだらこうなってしまいました(笑)。1つずつ丁寧に紹介していくので安心してください(^^)v

植物の必須元素は17あり多量要素の3元素中量要素の3元素微量要素の8元素で14元素となり、さらに酸素(O)、水素(H)、炭素(C)の3元素と合わせて17となります。酸素、水素、炭素はハウス栽培などの例外を除いては基本的に大気中や土中から十分に補えるのであまり気にしなくていい元素となっています。

さて今回は中量要素と微量元素についてお話ししていこうかなと思います。名前の通り多量要素と比べて植物の摂取が少ないものです。ですがそれぞれに植物に対しての作用がちゃんとありますので紹介していきたいと思います。完結編、最後までお付き合いのほどよろしくお願いします(^^)v

それでは参りましょう。

カルシウム(Ca) 中量要素

皆さんカルシウムと言ったらどういうイメージをお持ちですか?人で言ったら骨を丈夫にするなど、体を強く健康に保つために必要なものというイメージですよね。

植物においてもそれは一緒なんです。植物体を丈夫にしたり細胞を作ったりするのに大きな影響を与えています。

カルシウムの役割を少し細かく見ていきましょう。

細胞壁

細胞壁とは人で言う骨みたいなものです。植物には骨がないので細胞壁で細胞を守っています。細胞壁はセルロース、ヘミセルロース、ペクチンといった多くの糖類で作り上げられています。名称は違いますがどの糖も元は光合成で合成されるグルコース(ブドウ糖)からなるものです。ほんと光合成ってすごいですよね。

話を戻すと、細胞壁の糖類の中でもペクチンはカルシウムと結合することによって細胞壁の一部となります。細胞壁はビルなどに例えられます。セルロースは大きな骨組み、ヘミセルロースは小さな骨組み、そしてペクチンはカルシウムと結合することによってジェル化しセメントの役割となります。ですのでカルシウムが不足するとペクチンが本来の役割を果たせずに細胞同士に隙間ができて植物が弱々しくなってしまいます。そして病原菌や病害虫の侵入を招いてしまうことになるのです。

pH調整

カルシウムは『石灰』として畑に散布されます。それは土壌中のpHを酸性からアルカリ性へと下げる目的で使用されます。植物を作るとどうしても植物も土壌も酸性に傾いてしまうので環境や作物によって施肥量は変わってきますがほとんどの作物に使用されます。ただ、馬鈴薯などは石灰が病気の原因となるので散布することは好ましくないです。

土壌だけでなく植物内でも同じようにカルシウムの作用で『有機酸』を中和して無害化してくれる作用があります。有機酸とは植物内の酸性の有機化合物のことで、酸味の原因の1つと言われています。

用途別の強化

はだ農園のみかん栽培で言うとカルシウムは真夏以外でほぼ年中葉面散布で使用しています。それも細胞壁に関わる微量要素のホウ素入りのカルシウムを使用しています。

冬は細胞壁を強くして耐寒性向上、春は新芽や花芽を助長する細胞分裂の向上や植物を丈夫にしてポテンシャルを高めることでの生理落下防止、また細胞壁を密にすることでの病害虫の抵抗性も高めます。また収穫1か月前程からは頻繁に散布し果実を締めて浮皮防止や品質・食味の向上に努めています。

カルシウムとはこれほどの用途があり理解した上で使用すれば頼もしい味方となってくれるのです。

カルシウム過剰

前回のブログでカリウムとカルシウムとマグネシウムは拮抗していると紹介させてもらいました。ですので、カルシウム過剰となるとカリウム欠乏やマグネシウム欠乏を招くことになります。

また、土壌に石灰でカルシウムを与えすぎるとpHがアルカリ性に傾き過ぎて植物がうまく微量要素を吸収できなくなります。

カルシウム欠乏

カルシウムが足りていないと丈夫な細胞壁ができなくなり病害虫や病原菌に侵されやすくなります。また、カルシウムは植物内をほとんど移動しないため下葉に多く含まれます。ですので欠乏症は新芽や実から影響がでることが多いです。

マグネシウム(Mg) 中量要素

マグネシウムは中量要素ですが植物内の至る所で必須なものです。光合成にも直接的に関わってきます。

また別名『苦土』とも言われます。これは酸化マグネシウムが舐めたら苦いためです。そのまんまですね(笑)。ちなみに豆腐を固めるための『にがり』は酸化マグネシウムでできています。

マグネシウムの役割を少し細かく見ていきましょう。

葉緑素の化学式はもっと複雑なものですが中心を抜粋してみるとマグネシウムと窒素があります。

葉緑素

マグネシウムは光合成で光エネルギーの吸収が促される葉緑素(クロロフィル)の構成元素です。葉の色はマグネシウムと窒素の作用によって緑色となっています。植物が緑色なのには理由があったんですね。色さえもつけてしまうマグネシウム恐るべしです。

また、植物内のマグネシウムのうち葉緑素の成分となっているのは10%ぐらいだと言われています。

リン酸との相性

マグネシウムは多くの酵素の活性剤としての作用があります。特にリン酸との相性が良く、リン酸が関与する酵素反応や物質の合成や分解などに深く関わっています。

植物内を移行しやすいマグネシウムは、エネルギーとして至る所で作用しているリン酸のもとに駆けつける相棒のような存在です。またリン酸は植物に吸収されにくいですがマグネシウはリン酸の吸収を促進させる作用があります。

マグネシウム過剰

何度も申し上げてすいませんがマグネシウムはカリウムとカルシウムと拮抗作用があるので、過剰となるとカリウムとカルシウムの欠乏を招きます。この3元素はセットで覚えておきましょう。

マグネシウム欠乏

マグネシウムが不足すると葉から緑色が失われ黄化してきます。1番の特徴としては下葉から葉脈(葉の血管みたいなもの)だけが緑色を残し黄化してきます。これを『クロロシス』と言います。

クロロシスは鉄欠乏などでも見られますがマグネシウムは植物内で移行しやすい元素なので古い下の葉から症状が出始めるのが特徴です。

イオウ(S) 中量要素

マグネシウムがリン酸の相棒と考えるならばイオウは窒素の相棒となります。窒素とイオウはタンパク質、アミノ酸、葉緑素の構成に必要不可欠です。植物において窒素の役割が多いのと同時にイオウの役割も多くなります。

それなりに消費されるので中量要素となっているのですが、日本は火山活動が活発な国であり火山灰土壌が多い国です。火山灰や温泉と言えばイオウがイメージできるように日本の土壌には豊富なイオウが含まれています。ですので、イオウに関してはそこまで意識して与えるという作業はいらないと思います。

一応欠乏症としては、窒素と共に行動するので窒素欠乏に似た症状となります。

元素の中にも色々と相性があるんですよ(^^)v

微量要素

名前の通り植物にとって微量で事足りる元素のことです。ですが役割としたものはしっかりあるのでご紹介していきたいと思います。数が多いので必要なことをサラッといきたいと思います。

鉄(Fe)

鉄は葉緑素の形成に必要不可欠な元素です。また呼吸にも関りがあり、サポート的なことをしてくれます。ですので『光合成と呼吸』という植物にとって大事な要素に直結している元素となります。

そんなに大事な要素なのになぜ微量でいいのでしょうか?それは植物の構造に深く関係があります。

人の体では血液の中に赤血球が存在しそこに多くの鉄分が含まれています。ですが植物では葉緑素が血液の代わりとなります。葉緑素の主体はマグネシウムであり、植物は人体と違って鉄よりもマグネシウムの役割が多いわけです。

欠乏症としてはマグネシウムと同様にクロロシスが現れます。ですが移行しやすいマグネシウムと違い鉄は移行しにくいので新葉(上の葉)に症状が現れます。過剰となると金属類なのでリン酸と結合しやすくリン欠乏を招きます。

マンガン(Mn)

マンガンは主に葉緑素の形成に関わっているので光合成に必要不可欠なものです。また酵素の元素となったり、酵素自体を促進させる働きもあります。

欠乏症としては中~下の葉にクロロシスを生じます。またpHが低下しアルカリ性に傾き過ぎると土壌中のマンガンの過剰吸収を起こします。

モリブデン(Mo)

モリブデンは必須元素の中で最も必要量の少ない元素です。窒素の代謝や根粒菌の窒素固定、アミノ酸の合成などに関わってきます。窒素につきまとう微量要素となります。

過剰や欠乏症などはありますが、そんなに不足するということは起きない元素です。

亜鉛(Zn)

亜鉛は植物酵素の構成要素となる元素です。オーキシンの代謝やたんぱく質の構成に関わってきます。欠乏症としてはたんぱく質の合成が滞るので、その前段階のアミノ酸が多く蓄積されて植物体が弱々しくなります。

またそれに伴い、葉が小型となり節間も詰まり気味で下葉の方にクロロシスを生じます。過剰となると鉄と銅と拮抗作用があるので鉄欠乏や銅欠乏を招きます。

ホウ素(B)

ホウ素は細胞壁の生成を通して細胞分裂や根の伸長に大きな役割を果たしています。また細胞壁に必要な糖の移行やカルシウムの吸収・転流を促進しています。

ホウ素は土壌中に少しはあるのですが金属類(鉱物)ではないため必要な量があるとは言い難いです。ですので微量要素の中でも欠乏症が出やすいものとされています。

欠乏症としては細胞分裂が弱まるので生長点や葉の生育が止まり、ひどい時には枯死します。過剰ですと下葉に症状が現れ、葉の周りが変色(白っぽく)したり奇形葉が出たりします。

銅(Cu)

銅は葉緑体に多く含まれ『呼吸や光合成』に大きく関わっています。また細胞壁でセルロースと結合している『リグニン』の合成にも関わっています。リグニンが植物の『木化』に関与し、うまく作用すると植物体の損傷修復がスムーズに行われ茎などの強度が増すことが分っています。

欠乏症は呼吸や光合成に関わっているので全体的に影響が出ます。過剰では鉄や亜鉛と拮抗作用があるので鉄欠乏や亜鉛欠乏を招きます。

塩素(Cl)

塩素は濃いと猛毒なのですが植物の生育の上で微量元素として必要なものとなります。糖の移動や作物の成熟、病気の抑制に関わっています。植物に必要な塩素自体は日本の土壌中に十分に含まれているので、過剰や欠乏はあまり意識しなくていいと思います。

ニッケル(Ni)

ニッケルも濃いと猛毒なのですが植物の生育の上で微量元素として必要なものです。必須元素の中でも新しく発見された元素なので書物によっては記載されていないものもあります。

ニッケルは尿素をアンモニアに分解する酵素の構成元素です。窒素の分解過程がアンモニア態窒素から硝酸態窒素となりはじめて植物の根に吸収されるので、その前段階の尿素からアンモニア態窒素を作る過程に必要な元素と考えれば大事なものと言えます。

また、開花のプロセスを促進させるのにも関わっていると言われています。

まとめ

これで全ての必須元素のご紹介をさせて頂きました。今回のブログは元素の数も多く、頭の中で整理するのも大変でしょうが1つ1つの元素をしっかりと把握できれば農業を営む上で強い武器になるでしょう。

と言っても丸暗記は業務的で大変ですし面白くないですよね(笑)。私がおススメする覚え方としては『ストーリー性』を持って覚える方法です。内容を理解しながら自分なりの見解を持つようにしましょう。そしたら短期的ではなく長期の記憶として残るはずです。

さらに必須元素を覚える近道としては、まずは『呼吸と光合成』の仕組を理解しましょう。そんな覚えることが増えるだけで遠回りじゃないかと思われるかもしれませんが、そうでもないんですよ(^^)v私自身の実体験なんですが、私も初めは必須元素を1つ1つ覚えていました。ですが覚えたつもりでもストーリー性がないのでうまく人に説明できないんですよね。人に説明できないということは本当に理解していないということなんです。

そこで考え方を変えて大枠である呼吸と光合成から勉強してみました。もともと呼吸と光合成の仕組はストーリー性があるため比較的スムーズに覚えることができました。そこから必須元素を覚えると全てが関連づけられて覚えることができました。

必須元素は植物が生きるために必要なものです。そして植物が生きるために行っているのが呼吸と光合成なんです。つまり必須元素は『呼吸と光合成に必要な元素』ということです。

呼吸と光合成についての説明は私のブログでも紹介させて頂いてますので一度ご覧になってください(^^)v

質問や感想がございましたら是非コメント欄へよろしくお願いします。

それでは、また。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA