はだ農園

針尾汐風みかん



植物を支える重要な分子『核酸』 ~変幻自在!遺伝を担う貯蔵庫!~

こんにちは!はだ農園です。

今回はtabo研究所ということで『核酸』についてお話ししたいと思います。あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが実は誰でも一度は勉強していることでもあります。たぶん中学生ぐらいの生物の授業で習っているかと思います。農業の知識としても知ろうとしないとなかなか出てこないワードではありますが植物にとってはかなり重要なものです。

『核酸と言われてピンときていないそこのあなた!』に届けたい!その重要性と役割を。核酸がないと人や植物の未来はないですからね(^^)v

それでは参りましょう。

核酸を知ろう

まずは核酸について基本的なことからお話ししてみたいと思います。

核酸とは

人や植物は細胞内に細胞核を持つ真核生物です。細胞核の中は酸性を示すことから細胞核内の物質を総称して『核酸』呼びます。

核酸は塩基・糖・リンからなるものです。塩基は炭素・水素・窒素・酸素からできるものなのでさほど気にする必要はないですが糖とリン酸に関しては生成を増やすことができるので、核酸には糖とリン酸が必要だということは覚えておきましょう。

また、核酸は調味料としても使われています。イノシン酸ソーダー(鰹節の旨味成分)、グアニール酸ソーダー(椎茸の旨味成分)などを核酸系調味料と呼びます。グルタミン酸ソーダーは『味の素』と呼ばれ植物系の核酸調味料として使用されています。海外では核酸系調味料を肉のエキスで補っていることが多く、植物系の核酸調味料はほとんどが日本の数社で作られています。ちなみにその主要生産会社が味の素、武田薬品、協和発酵です。

DNAとRNA

生物(植物も含まれる)には2つの核酸があり、大きく分けて『DNA』『RNA』に分けられます。DNA(デオキシリボ核酸)は遺伝情報を保存する役割を持つもので、RNA(リボ核酸)はDNAからの情報を読み取り、たんぱく質の合成に必要なアミノ酸の配置を決定する役割を持ちます。

分かりやすく例えるなら、家を建てる場合で言うとおおもとである設計図がDNAであり、設計図をもとに家を建てる大工さんがRNAとなります。

どちらの核酸も生物内で大事な役割を担っています。

植物における核酸の役割

それでは植物に限ったところで言うと核酸はどのような役割があるのでしょうか。核酸の役割を知ることでその重要性に気づくはずです。

遺伝子

DNAの話しになるのですが、先程も述べた通りDNAの主な役割としては遺伝子情報の保存です。植物の成長、発達、形態、機能など様々なものをDNAとして核酸の中に保持しています。植物の形質にも深く関わっており、遺伝子は植物の子孫に形質を伝え、遺伝子の組み合わせによって植物の形態、成長速度、花や実の形、色、抵抗性など様々な遺伝に関与しています。

前から良きも悪きも問題とされている人工的に遺伝子を操作して収量や品質などを上げる遺伝子組換えの技術はDNAをいじくるものです。さらに近年では『ゲノム編集』といった画期的な技術も開発され、本能であるDNAすら人工的なものになり人は神の領域に手を伸ばし始めました。なんか技術の進歩って恐ろしいですよね。

他に、植物のDNAとしての役割としては細胞分裂や細胞増殖、そして植物の生長や発達の調整などがあります。植物の状態が良い場合は調整もスムーズにされるのですが1つだけ例外の場合があります。それはDNAが損傷した時です。損傷と言っても内部から直接傷つけられるわけではなく、植物の場合は温度変化や干ばつ、紫外線、病原菌など外的ストレスがかかることによりDNAが損傷されます。そうなった場合、植物は一時的に細胞分裂を停止させ成長を止めます。そしてストレスがなくなり活動できると判断したら成長を始めます。ダメになりそうな細胞を捨てて新たに作り続ける動物とダメになりそうな細胞のために活動を止める植物、大きな違いはここにあります。

リンの貯蔵施設

実は、DNAは植物の中でも『リン酸』を多く含む物質です。本来は遺伝や生態を保つために活動しているDNAですが植物内外の異変で植物内にリン酸が足りなくなった場合、DNAは自己分解してリン酸を植物内に放出します。つまり、DNAはリン酸の貯蔵施設も兼ねているわけです。

リン酸は植物にとって大事なものであり、特にエネルギーである『ATP』(アデノシン三リン酸)に必要不可欠なものです。また、リン酸は植物に吸収されにくい面も持っているのでDNAという形で植物内に貯めこんでおけることは画期的なこととなります。

発根が進む

イノシン酸という核酸から酸が外れたものをイノシンと呼びます。近年、このイノシンが根と接触することで根の細胞が活性化し根が太くなったり、根の量が増加することが分かりました。不思議なことに葉面散布で葉に散布しても効果はあまり見られず、かん水による根との接触で初めて効果が現れるということが発見されました。また、試験をして分かったことは大事なのはイノシンの濃度ではなくイノシンが根に接触するということです。ですので雨を利用して地中への浸透力を高める方法が効果的とされています。

私のブログでは何度も根の重要性をお伝えしてきました。発根が進むということは細根が増えるということであり、水や養分の吸収や植物ホルモンの流れも良くなります。それにより光合成能力が高い作物は健全な形を保ち続け、収量・品質の向上へとつながります。

核酸はその一役を担う大事なものだということを意識しましょう(^^)v

核酸の安定供給のために

ここまでで核酸が作物にとっていかに大事なものか理解して頂けたと思います。それでは核酸を安定的に供給するためにはどのようにすればいいのでしょうか。

核酸の補給

現在、農業技術も進歩しており、核酸を葉面散布により直接作物内に与えることができるようになりました。まぁできるようになりましたというか葉面散布で核酸を与えたら作物が吸収して効果が現れることが分かったということです。また、核酸はアミノ酸と密接な関係にあり同時に吸収されることで最大限の効果が発揮できます。そのため現在ではアミノ酸と核酸を配合してある葉面散布剤もあります。

リン酸と糖の補給

葉面散布で外から核酸を補給することもできますが、より大事なのは植物内で核酸をうまく生成できる循環を作ることです。核酸は塩基とリン酸と糖でできているので核酸の生成を活発化させるためにはリン酸と糖の補給が大事になってきます。

リン酸は三大要素の1つであり、作物内のエネルギーであるATP、花芽の形成や実の肥大・熟成など様々な役割があり、その重要性は広く認知されています。ですので基本的に肥料にも入っていますし、液肥、葉面散布にも入っている場合が多いです。作物内での核酸を生成する上で1番意識しなければいけないのは糖(炭水化物)の補給です。ここでいう糖とはグルコース(ブドウ糖)のことです。

糖は光合成によって作られます。ですので作物の状態が良く天候もいい場合には光合成能力も高いため糖の生成も活発化され、アミノ酸や核酸が十分に補給されることになります。問題は作物の状態が悪い時や天候不順の時またはそれらが今後悪くなりそうな時です。当然のように光合成能力が低下するため糖の補給が間に合わず、さらに作物の状態が悪くなるという悪循環になってしまいます。糖の補給は核酸はもちろんたんぱく質や光合成にも関わってくるので定期的に作物に与える必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。核酸という言葉は聞き慣れなくて難しいイメージもあったでしょうが中身を紐ほどいていくと理解するのにはそんなに複雑なものではなかったんじゃないかと思います。むしろリン酸や糖、光合成といった今までブログでご紹介してきたことばかりで身近に感じるくらいです(^^)v核酸は植物にとって最も重要な物質の1つと言われています。そう言われるほど植物にとってはなくてはならないものであり作物を作る側の私たち農家にとっては意識しなければならないものです。

近年、農家さんの中でも光合成やアミノ酸などに対する認知と知識は広がっていますが、それに比べて核酸はまだまだ重要性が伝わっていないような気がします。特にアミノ酸に興味がある人は核酸のことも同時に学ぶべきです。アミノ酸と核酸は糖(炭水化物)という共通点があるからです。

核酸は遺伝子であり、たんぱく質を作るものであり、リンの貯蔵庫でもあり、旨味成分でもあり、発根を促進するものでもあります。他にも様々なところで活躍している変化自在のスーパー高分子です。核酸を意識した栽培で作物の安定化と収量・品質の向上を目指しましょう(^^)v

質問や感想がありましたら是非コメント欄へお願いします(^^)v

それでは、また。


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