はだ農園

針尾汐風みかん



果樹栽培の悩みのタネ『隔年結果』~常識を覆せ!隔年結果からの卒業!!~

こんにちは!はだ農園です。

今回はtabo研究所ということで『隔年結果』についてお話ししようと思います。隔年結果は果樹にみられ、特にみかんでは現れやすく、栽培するにあたっては避けてはとれない悩みのタネとなっています。ただ、中には隔年結果がほとんどない、もはやない!っと言っていいほどの農家さんもおられます。自分で言うのもなんですが、はだ農園も隔年結果はほとんどありません。正確に言うと、隔年結果をしないように努力しています。前まではなんとなく自分で分かる範囲の理解でしたが今は人に伝えられるようにもなってきました。まぁでも説明下手な私が口で流暢に話せるはずもないので文章に書きおろしてみようと思った次第です(^^)v

『隔年結果は当たり前だと思って諦めているそこのあなた!』そんな固定概念に捉われないでください。隔年結果をなくして高品質のみかんを安定して作りましょう。

それでは参ります。

隔年結果とは

隔年結果をしにくくする話しをする前にそもそも隔年結果について一定の理解は必要だと思います。まずは本質を知って問題解決へと繋げていきましょう。

表年と裏年

基本的に果樹には隔年結果があり、それは『表年』『裏年』という言い方で表されます。表年とは多くの実をつける年のことを言い、裏年とは反対に実が少ない年のことを言います。これが毎年交互に繰り返されることを隔年結果と言い、特にみかんではその波が激しいとされています。

もう少し細かく説明すると隔年結果の理由としては表年は花が多く着いて新芽が少ない傾向にあります。その場合必然的に次の年は昨年の新芽が少なかったことから結果母子の数も少ないので花が少なくなります。また花を形成する力を消費しないため多くの新芽が出てきて裏年となります。その翌年には多く出た新芽の結果母子から多くの花が着き表年となりますが、花に力を消費して新芽は少なくなります。この循環が表年と裏年であり隔年結果となります。

隔年結果の原因

原因の1つに挙げられるのが栄養成長と生殖成長のバランスの悪さです。栄養成長とは作物の個体維持のことを言い、発芽や生育など作物が自分を成長させて生命を維持することです。生殖成長とは種族維持のことを言い、花芽分化、受精・開花、果実の肥大・成熟など作物が子孫を残すために種を作ったり、実を実らせたりすることを言います。何が言いたいのかと言いますと隔年結果は芽と花のバランスが重要となってきます。ということは栄養成長の芽と生殖成長の花のバランスが大事ということです。

また収穫が遅い品種ほど隔年結果が出やすい傾向があります。それは収穫が遅くなると樹勢回復しにくくなるからです。例えば10月に収穫されるみかんは気温も地温もまだ高く肥料を与えても根が吸収しやすいし光合成も活発に行うので樹勢回復しやすく隔年結果がでにくいです。しかし、12月に収穫されるみかんは気温も地温も低く肥料を与えても根の動きが鈍く光合成能力も低下しています。さらに4月に発芽するタイミングは10月のものとほとんど変わらないので収穫後から発芽するまでの日数が短く、回復期間も短く木への負担も大きくなります。中生以降のみかんが隔年結果しやすいのはそのためです。

あとは台風や干ばつによる自然災害で木がダメージを受けて植物ホルモンのバランスを崩して隔年結果したり、作り手による管理不足(摘果、せん定、収穫の遅れなど)によっても出やすいです。

隔年結果によるデメリット

多く成る年と成らない年、2年で見れば隔年結果しても大丈夫!・・・なんてことはないです(笑)。隔年結果はデメリットしかありません。まず経営的にも経済的にも安定しません!労働が多い年と少ない年があると毎年管理が行き届きませんし、収入でも毎年の差が激しくなります。人を雇用するにしても計画が立てにくくなります。また、作物を売り込むにしても毎年ある程度の量を見込めないと売り込みにくくなります。農業で作物の量を安定させることはかなり重要なことなんです。

そして何といっても隔年結果1番のデメリットは味と品質です。みかんでは隔年結果が強くあられる木の裏年のものは品質は悪くおいしくもないです。これは木が栄養成長に走り実にストレスがかからないためです。いろんなストレスのかけ方がありますが1番のストレスは『着果ストレス』です。実がたくさん成ればみかんは自然とおいしくなります。果樹はおいしくて初めて価値を生みます。隔年結果するということは毎年安定しておいしいものを作れないということなんです。

隔年結果させない考え方

今の世の中、隔年結果を抑えるための技術はたくさん紹介されていますが、ただそれらを全て鵜吞みにしていては自分のものにはできません。まずは自分の芯となる考え方を作り自分なりに隔年結果に対してどう向き合うかを整理しましょう。参考になるか分かりませんが私の考え方を紹介します。

常識を疑おう

ブログを通して口酸っぱく言ってきましたが農業では常に『なんで?』という感覚を持つようにしましょう。それは作物が人と話すこともできず見た目でしかコミュニケーションがとれないからです。たしかに近年AI化が進み、多くのことが分かるようになってきました。ただ植物内の細かなことはまだまだ分からないことが多いとされています。ですから常識なことであっても常に疑問を持ち知ろうとすることが大事だと思います。

私はみかん栽培をする上で何で隔年結果が当たり前なの?それは絶対なの?誰が決めたの?なんで仕方ないと割り切るの?それでいいの?そんなことばっかり思っていました。活字で出すとすごく怖いですね(笑)。だからこそ今、自分の芯があるんだと思っています。

対策ではなく体質を変えよう

隔年結果の対策として摘蕾による新芽の確保や植物ホルモン剤による花芽の抑制などがあります。さらに細かく言えば花を落とさないために栄養剤を入れたり摘果方法を工夫したりと要所要所での作業があります。ただこれらは対策であって隔年結果を前提とした栽培になっていると思います。前提とした対策では後手に回っているということであって根本的な解決にはなりません。そう思いだしてから、はだ農園では摘蕾や花だしの作業を止めました。隔年結果をなくすためには対策ではなく木の体質を変えることに労力を注ぐべきです。

足し算の連続には必ず副作用がある

最近はみかんの隔年結果の是正やみかんの品質を上げるためにいろんな技術や薬剤を扱うケースが増えてきています。私が特に懸念を抱いているのは薬剤によって木を調整する方法です。本来、植物は自分自身で生命を維持し子孫を残すものでありそこに人工的なものを必要としていません。自然に対して人が何かを与えるということは何かが起こるということに繋がると思います。それには限度があり、限度を過ぎてしまうと植物にとっていい環境ではなくなってしまいます。

何かを与えて副作用が出たからそれを別の何かで補ってまた副作用が出る。作物のためにやっているはずなのにいつの間にか負のスパイラルに入ってしまう。こうなってしまうと作物は体調を崩し本来持っているパフォーマンスを出すことが出来なくなります。農業の栽培での主役はあくまで作物であって人ではありません!

隔年結果しないためには

ここまでは隔年結果についての説明だったり考え方をお話ししてきましたが、ここからは具体的にどうしたら隔年結果がなくなるかというお話をしていきたいと思います。もちろんこれもはだ農園バージョンですので参考までに聞いて頂ければと思います。

木のポテンシャルを高めよう

私の考えは木のポテンシャルをあげれば人が必要以上に手を加えずとも隔年結果は起きにくい!と思っています。ですから私が気にかけてたくさん手を加えるのは収穫後から発芽するまでの木が最も弱っているときです。

昔から疑問に感じていたことがあります。隔年結果の要因が春の芽と花のバランスって分かっているのになんで冬の管理はおろそかなんだろうって。収穫後で出荷に追われたり、出荷が終わると一息つきたい気持ちも分かるんですが発芽した時点でほぼ花の数も決まっているでしょうから隔年結果をなくしたいなら冬の管理こそ大事なんじゃないのかなと思います。大げさなことを言えばおおよその糖度さえも春の時点で決まっているんじゃないかなと思っています。そう思ってしまうほど冬の管理は重要なんです。

はだ農園では秋肥はとにかく早く入れます。収穫後すぐにです!もちろんほぼ有機質のものにしています。ただ一昨年ぐらいから量は減らしました。冬の吸収率を考えたらそれほど与える必要はないかなと思っています。その代わり吸収率のいい葉面散布を春までに7~8回散布し補っています。葉面散布の意図は年内は樹勢回復や光合成促進から始まり、年明けからは花芽分化促進や糖分補給となります。さらに作物の健全化をはかり植物ホルモンの循環を良くします。そして、しっかりと木に力を蓄え春に備えます。他にも微生物の餌になるような有機質の土壌改良剤を入れて微生物の活性化をはかります。

剪定は切り返し中心

剪定は冬にみかんの木を整える作業です。ただ私にとって剪定はみかんを栽培する上で最も重要な作業の1つであり、最高の剪定ができれば芽と花のバランスは適正なものとなり、その後の労力さえも軽減できると思っています冬に私が行っているみかんの木への異常なまでの可愛がり方は全て理想の剪定を行うためのものと言っても過言ではありません。

一般的に剪定作業では立枝を除去する間引き剪定が中心となります。立枝を残すと木が栄養成長に走り樹勢が強くなって安定せずに花も止まりにくいとされてきました。木の樹勢を安定させるためには間引き剪定が必須で立枝を残すなんて選択肢に入れてはならない。・・・これが常識です。

ただ私はあえて立枝を残します。正確に言うと『立ち芽』を残します。立ち芽は春に勢いよく出た強い新芽であり当然ながらそこには新葉があります。新葉は古い葉に比べて光合成能力が高く、吸収率も高いです。つまり作物のポテンシャルを最大限高められる形となります。そのため葉面散布も最大限の効果が発揮できます。一方、間引き剪定では枝の更新がないために古い枝や葉が残りやすく光合成能力も落ちて木自体が弱くなります。なので間引き剪定によって木が安定して見えるのは木が弱って動きが鈍くなっているという錯覚なのかもしれませんね。

また剪定は発芽前の3月までに終わらせるようにしています。剪定によって発芽する場所を減らしておくことでより強い芽や花が着くからです。木のエネルギー量は決まっているので剪定が遅れてエネルギーを分散させるのはもったいないですからね(^^)v

切り返し剪定での利点は他にもあります。それは植物ホルモンの活性化です。剪定時に意識しなければならないのはオーキシンとサイトカイニンです。詳しい働きについては植物ホルモンのブログで説明してありますのでそちらをご覧になって下さい。まぁ簡単に言うとオーキシンは枝の先端でほとんどが生成されます。オーキシンは先端から根へ下りていき発根に関与していきます。サイトカイニンは細根で生成されるもので側枝や花芽分化に関与してきます。それらをふまえた上で切り返し剪定で植物ホルモンはどうなるか順を追って説明します。

切り返し剪定を行うことでオーキシンを抑制することができます。そしたらサイトカイニンが分泌しやすくなり木が側枝(後の結果母子)や花芽の形成へ傾きやすくなります。さらにサイトカイニンを刺激することで根の活動が高まり養分の吸収率も上がります。そして春にはたくさんの芽を出し、またオーキシンが活性化して葉を大きくしたり根を広げて光合成能力を高めます。この好循環を生むのが切り返し剪定です。ただ気をつけて欲しいのは内側の立枝や伸びる方向が違う立枝は間引きして除去するので全てが切り返しではないということはご了承ください。また、切り返し剪定を行う個所の切り口は枝に沿って深く剪定しましょう。切った後が残るような剪定はオーキシンの流れに当たらずに枯れこんでしまいます。深く剪定してオーキシンにあてることによってカルスを形成できれば枯れることはありません。

間引き剪定では枝が弱くなりやすく、そこには弱い花しかつきません。切り返し剪定で強い芽をだして強い花をたくさんつけましょう。

ルーティーン化しよう

みかん栽培するにあたって剪定と同じくらい大事にしていることがあります。それは年間の栽培管理を毎年同じ時期に同じように行うことです。もちろん全く一緒というのは無理にしてもなるべく時期をずらさないようにしています。一見、当たり前で簡単そうに見えますがどのくらいの果樹農家さんができているでしょうか。よっぽど意識していないとできることではないと思います。

私の場合で言えば、春と秋の肥料の散布時期、摘果の時期、みかんの玉揃え、冬の葉面散布の回数、せん定の仕方と終わる時期など多少の違いはありますがここ10年以上ほぼ一緒です。表年だから裏年だからといって剪定方法を変えたり忙しいのを理由に玉が揃わなかったり剪定が大幅に遅れたりしたことは一度もありません。何が何でもみかんの木に同じリズムを刻んできました。

そうすることで何が起きるのかというと、これは私の感覚になってしまうんですが『木に習慣がついてくる』んです。規則正しい習慣を木につけることで隔年結果せずに毎年安定した収量が採れるようになります。人だってそうですよね。就寝や起床の時間、睡眠時間や食事の時間などの生活習慣が安定しないと体調を崩しやすくなりますし仕事では最高のパフォーマンスを発揮できないと思います。ある程度一定の生活リズムを守ることで本来の力が発揮できるはずです。隔年結果の原因の所で述べた自然災害によって隔年結果が助長されるというのは木の生活リズムが狂わされてしまうと考えればつじつまが合いますよね。

剪定や葉面散布、有機質肥料にいくらこだわったとしてもそれをルーティーン化して続けなければ何の意味もないと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。これが私の隔年結果に対する考え方であり、はだ農園で実践していることです。自分で言うのもなんですがなかなか核心をついていると思っています(笑)。他にも私はこういうやり方で隔年結果をなくしているという人がいればそれはそれでいいと思いますし、素晴らしいことだと思います。ただ現状では多くの農家さんが悩んでいるのも事実です。

正直に言いますと、指導者さんや農家さんとの会話で『今年は表年だから大変だ』とか『今年は裏年だから厳しい』などの言葉を聞くたびに少し寂しい気持ちになります。それを受け入れてしまったら本当においしいみかんを安定して作れるんだろうかと思います。本当に美味しくてコクのある自分だけのみかんを作る1番の近道は隔年結果をなくすことから始まります。

繰り返し言いますが隔年結果に対する私の考えが絶対正しいとは言いません!ですが隔年結果を受け入れた栽培だけはどうかしないでください!せっかく味を追求できて自分だけのものを作れる果樹栽培のメリットを捨てないでください。隔年結果がなくなった時、その味や食味はあなただけが出せるものとなっているはずです(^^)v

質問や感想がありましたら是非コメント欄へお願いします。

それでは、また。


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