はだ農園

針尾汐風みかん



堆肥を使って畑を肥やそう ~堆肥の基本知識編~

こんにちは、はだ農園です。

暑がりの私は夜にクーラーをつけることも多くなりました。ですが暑がりと同時にお腹が弱いので朝お腹を壊すこともしばしば(笑)。クーラー使い始めの体温調整は難しいですね(^^)v

さて今回は『堆肥』についてお話ししたいと思います。農協やホームセンター、また近くに畜産業を営んでいる方がおられたら比較的手に入りやすい資材です。また、一から自分で作ることもできます。

その効果は絶大で土壌改良から肥料資材としても活用でき、再利用、有機質という面からもSDGsのど真ん中と言えるものだと思います。

ただ、堆肥に対してある程度の知識を持っていないと、それは土壌を破壊することに繋がりかねません。昔に私も知識がないまま、ただ畑に堆肥をふってしまい畑を肥やすどころか破壊してしまった経験があります。皆さんがそうならないためにも基礎的なことでいいので『良質な堆肥』とはどういうものかをご紹介していきたいと思います。

それでは参りましょう。

堆肥の使用目的

わざわざ手間をかけて堆肥を畑に撒くということはその分メリットが多いからです。簡単ではありますが使用目的をご紹介していきます。

C/N比による堆肥の使い分け

C/N比とは有機質肥料に含まれる炭素と窒素の比率のことを言います。15~25程度を基準とし、それより高いと土壌改良剤としての効果が高くなり、逆に低いと肥料としての効果が高くなります。基本的に動物性の堆肥はC/N比は低く、植物性の堆肥は高いです。

堆肥化する前のC/N比が高すぎるものを畑に撒くと窒素飢餓による障害を起こします。窒素飢餓とは堆肥は発酵過程で微生物が活発化することにより炭素(炭酸ガス)はエネルギー、窒素はたんぱく質として消費されます。それによってC/N比が下がり完熟した良質な堆肥となります。

団粒構造の形成

団粒構造とは細かい団子状になった土の粒が土壌中に多く存在することです。団粒構造ができることにより土壌中に隙間ができ、そこに空気や水が留まり植物にとって生育しやすい環境となります。

また、土壌中に多くの酸素や二酸化炭素、水を保持することで光合成に悪条件の中でもしっかりと光合成を促進させることができるようになります。

微生物増加による活性化

良質の堆肥の中には多くの微生物が存在します。いい堆肥を撒くということは多くの微生物を撒くということにもなり、土が豊かになるということになります。簡単ですが堆肥が発酵するのに大事ないくつかの微生物の種類と特性をご紹介します。

土壌中に1番多く存在する微生物は『糸状菌』です。糸状菌は炭水化物(でん粉)を分解して糖を生み出したり、たんぱく質を分解してアミノ酸を作ったりする機能があります。それをエネルギーとして他の菌が増殖していきます。また、菌の中でも低めの温度を好むので真っ先に動いてくれる菌となります。

同じような温度で動く菌として『酵母菌』というものもあります。酵母菌は糖を分解してアルコールにする機能があります。よくいい発酵したものは甘い香りがするというのは酵母菌がうまく作用したということです。

他にも『放線菌』という菌もあり、これは土壌病害虫を抑制してくれるものとなります。

微生物について話せば長くなるので別の機会にゆっくりとお話しできたらなと思います。

堆肥の種類と特徴

一概に堆肥と言ってもその種類は数多くあります。というか堆肥化というのは有機物を時間をかけて発酵させれば何でもできるものです。全てをご紹介するのは無理があるので今回は堆肥の中でも有名なものをご紹介していきます。

動物性堆肥

畜産業で飼育されている動物の糞尿が原料となっています。動物性堆肥は全体的に堆肥の中では効き目が早い方に分類されます。その中で代表的な動物性堆肥の3つをご紹介します。

牛糞堆肥

堆肥と言えば牛糞と思う人が多いように堆肥の原料として1番有名で流通が多いものです。C/N比は15~20で肥料・土壌改良どちらにも効果があり、使いやすい堆肥となります。

土壌分解速度はやや緩やかで1年で60%程度です。なのでよほど未熟堆肥でないかぎり植物には悪い影響は出にくい堆肥と言えます。ですが使いやすい堆肥と言っても分解速度を考えるとやればやるだけいいものと言うわけではないので、そこに関しては注意が必要です。

豚糞堆肥

豚糞も牛糞と同じように比較的使いやすい堆肥となります。C/N比は8~12で肥料・土壌改良のどちらにも効果はありますが、やや肥料よりの原料となります。

土壌分解速度は牛糞堆肥と同じで1年で60%程度です。牛糞堆肥と比べてさほど変わりがないので使い方としても同じように使っていいと思います。

鶏糞堆肥

鶏糞に関しては他の堆肥とは違うということをしっかりと意識しなくてはいけない原料となります。C/N比は6~8とかなり低めで肥料と思って頂いていいと思います。土壌改良としての効果を求めるなら鶏糞に他のものを混ぜて堆肥化するのをお勧めします。

土壌分解速度は1年で80%と堆肥の中でも非常に高いです。成分も肥料分が多く効き目が早いため有機質の中では最も化成肥料に近いものといえます。なので知識や目的があって鶏糞を使うのはいいと思うのですが、何となく他の堆肥と同じように使うと失敗しやすい堆肥となります。また、アルカリ性の堆肥と言うのも1つの特徴となります。

好き嫌いがはっきり分かれる堆肥と言えるでしょう。

植物性堆肥

原料は自然界にあるものがほとんどとなります。これぞ有機という感じですね。分解スピードは全体的に遅く、未熟堆肥には注意が必要です。未熟の場合C/N比が非常に高く最悪の場合、『窒素飢餓』を招いてしまいす。しっかりと発酵させるとC/N比も下がり(それでも30~50程度)土壌改良としては最高の堆肥となります。

ワラ堆肥

ワラは何にでも活用できる万能の原料として昔から重宝されてきました。それほどワラは使い勝手が良く安全なものだと言えます。それは堆肥に関しても同じことが言えます。C/N比は50~70で完全な土壌改良を目的とした堆肥となります。

土壌分解速度は1年で40%程度で、鶏糞の半分ほどの効き目となります。

特徴の1つとしてワラには『珪酸』が含まれています。珪酸は植物の体質や抵抗性の向上、根の活性や土壌のリン酸吸収をサポートしたりと多くの役割を担っています。

もみ殻堆肥

もみ殻はワラと同様にお米を作る過程から出る副産物です。C/N比は70~80で土壌改良向きですが堆肥化するまでに2年程かかるとされています。土壌分解速度は1年で40%程度です。

未熟のまま畑に撒いてしまうと『窒素飢餓』を招くおそれがあるので、堆肥ではなくそのまま畑に撒く場合は何かしらの工夫が必要となります。

例えば、はだ農園では年に1度ハウス内の通路にもみ殻を撒いています。それは寒い時期の対策として土壌の保温・保湿・雑草抑制のためです。ただ先程述べた通りただ撒くだけでは窒素飢餓を招く恐れがあるので、作が終わりもみ殻を敷きこむタイミングで微生物資材と微生物の餌として米ぬかを撒き発酵・分解を早めるようにしています。さらに窒素に限らず肥料に関しては切らさないように、有機質が多く含まれている元肥を基本として追肥、液肥を定期的に行い微生物が働きやすい環境を整えています。

もみ殻を使う場合はなるべく単体では使わないようにしましょう。

腐葉土堆肥

落ち葉と土を混ぜることで作る堆肥となります。C/N比は30~40で土壌改良よりの堆肥です。通気性と保水性に優れていて、堆肥の中では最も自然界に近いものと言えると思います。

これは腐葉土堆肥だけでなく植物堆肥全般に言えることなんですが、もともとの肥料分が少ないため微生物や菌が活発化しづらく発酵しづらいことがあります。自然界で落ち葉が腐植するときに熱を持っているイメージはないですよね。ですので植物性堆肥は時間をかけるか人工的に発酵促進剤を入れ込んであげる必要があると思います。

バーク堆肥

樹皮を発酵させて作った堆肥です。堆肥化する樹に決まりはないので幅広い樹が使用されています。C/N比は50~100で堆肥の中でも土壌改良の効果が最も高いものと言えます。ですが堆肥化前のC/N比は200~300にものぼり、未熟なままで使用するとすぐに窒素飢餓や植物の根痛みの症状が出ます。

必ず、しっかりと発酵し堆肥化されたバーク堆肥を使うようにしましょう。

完熟で良質な堆肥と未熟で悪質な堆肥の見分け方

今までの説明で未熟な堆肥は絶対使用しない方がいいということはお分かり頂いたと思います。それではどんな堆肥がいい堆肥になるんでしょうか。ここでは堆肥の見分け方についてご紹介します。

温度

堆肥は発酵する過程で熱を持ちます。初めは70度以上にもなり家畜の持つ病原菌や雑草の種を死滅させるほどです。そこから何回も『切り返し』という作業を行い空気を入れながら微生物や菌を活性化させまた熱を持たせるという作業を繰り返します。切り返すたびに熱は少しずつおさまって堆肥化していきます。

ですので見分け方の1つとして熱い堆肥はまだ堆肥化していないということになります。熱を持っているということはまだ発酵途中の未熟堆肥というわけです。

匂い

うまく発酵できた堆肥は本当にいい匂いがします。発酵により甘いアルコール臭が漂い、お酒をイメージしてしまうほどです。この時点でほぼ発酵が進んでいるとみていいです。最終的に発酵が完全に終わった完熟堆肥は無臭となります。

では未熟堆肥はどんな匂いがするのでしょう。それはすごく分かりやすいです。とにかく臭かったり、アンモニア臭がするものはダメです。堆肥は臭いイメージがある人もいると思います。それは未熟堆肥が結構出回っているからなんですよね。畜産の糞尿を早く片づけたいと思う業者が利益優先で未熟堆肥を市場に出してしまうことがあります。

ですので我々農家は値段ではなく匂いでしっかりと見極めましょう(^^)v

触感

堆肥を触ってみましょう。そこから多くのヒントが得られます。まず、植物性堆肥などは分解速度が遅いという説明をしましたね。植物性堆肥に多いことなんですが触ってみて、もみ殻や樹皮の感じが残っているということは分解しきっていないということになります。分解には時間がかかる堆肥なので触って確かめることで発酵具合を確かめます。ただ少し形が残っていてもすり潰せる程度であれば問題ないと思います。

触って分かることと言えば水分量です。堆肥に適切な水分量と言えば60~70%と言われています。具体的にどの程度かというと堆肥をぐっと握って指の間からじわっと水分が出てくる具合です。60%以下の乾燥状態ですと握っても固まらず水分も出ません。また70%以上の水分過多となると握ったら水分がボタボタ垂れる状態となります。目安として覚えておきましょう。

まとめ

ここまで多くの堆肥についてご説明してきましたが、個人的には堆肥は土壌改良剤として使うものだと思います。それなら植物性堆肥がいいのかというわけではなく1番良い方法は動物性と植物性のブレンド堆肥を自分で作ることだと思います。

そのためにはそれぞれの特性を理解していいとこどりの堆肥、つまりハイブリッド堆肥を作り出す必要があります。今回のブログ以外にも有機質肥料として載せているブログもあるのでそちらの材料も是非活用してほしいと思います。良質な堆肥を与えることで有機質肥料が効率的に植物にいきわたるようになります。

堆肥は身近にたくさんあり、畑に撒こうと思えばすぐにでも買ってきて撒けるものです。ただ全ての堆肥が良質な堆肥とは言えません。それどころかその辺で買ってきた堆肥はほぼ100%発酵しきって、良質な堆肥とは言えないものでしょう。それは言い方が悪いかもしれませんが、堆肥を作っている方が発酵と乾燥を混合して考えていることが多いからです。何回も切り返して乾燥してしまえば匂いは薄くなります。長い時間をかけずに堆肥として出荷することも可能となるでしょう。

ただそれは乾燥によるもので水分量が確保された中での発酵とは違うものと思っています。ほんとうに良質な堆肥はある程度の水分量の中で微生物、菌の活性化により腐植していくものだと思っています。

これからの時代、堆肥を肥料にするとまでは言わないものの『土づくり』は自分でするものだと思っています。以前、私は知識が浅いまま買ってきた堆肥を撒いて1年目は良かったのですが2年目から植物に障害を起こしてしまいました。それ以降下手な堆肥なら撒かないという考えを持っていましたが、最近自分で堆肥を作って自分の理想とする土壌を作ってみたいと思うようになりました。

良質な堆肥を使うことで吸収率がよくなり肥料も少なくてすみますし、コクをだすのにも大いに役立ってくれるでしょう。それこそ、はだ農園だけの味となり他との差別化となると思っています。

オリジナルの堆肥作りとは困難な道のりかもしれませんが、やる価値のあるものだと思います。『いい堆肥はいい土を作りいい作物を作る!』これだけは今も昔も変わらない事実なんです(^^)v

質問や感想がありましたら是非コメント欄へお願いします。

それでは、また。


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