こんんちは!はだ農園です。
今回はtabo研究所ということで『鉄』についてお話ししたいと思います。前にお話ししたこともあるのですが鉄は微量要素の1つであり植物が必要とする量としては多くはありません。むしろ少ないです。ですが、重要な必須元素となります。
皆さんは植物の10元素という言葉を知っていますか?あまり聞きなじみのない言葉ですが、これは高等植物を生育するのに重要な10種類の元素のことを言います。高等植物とは根・茎・葉がある植物のことで、まぁだいたいの植物のことです(笑)。ちなみに下等植物は菌類・藻類などのことを言います。話しを戻すと10元素とは炭素・酸素・水素・窒素・リン・カリウム・カルシウム・マグネシウム・イオウ・鉄の10種のことです。察しのいい方はお気づきでしょうが多量元素9種類に微量元素の鉄が加わっているのです。このことからも鉄の重要性が伝わりますね(^^)v
『微量要素だからと言って鉄を甘く見ているそこのあなた!』に届けたい鉄の魅力と難しさ。植物の生育に重要だと言われたら知っておきたいところですよね。
それでは参りましょう。
鉄を知ろう!
まずは鉄がどこに存在していてどのようなものなのかイメージしやすいようにざっくりではありますが説明したいと思います。

鉄とは
鉄の存在の話しは壮大です。では宇宙の話しから始めましょうか(笑)。宇宙空間にも元素は存在します。鉄元素もその1つです。その鉄元素が集まってできたのが地球になります。ですので地球には多くの鉄が含まれていて、およそ30%がそうだと言われています。ほぼ地球の核の部分にあるんですが植物に影響を与える地表では3~4%ほどの含有量となっています。
もちろん土壌の性質によって鉄の含有量も変わります。例えば日本には赤土と黒土があります。日本は火山大国で列島誕生から地形形成まで火山の噴火による影響が大きく関わっています。赤土と黒土はどちらも火山灰からなるものです。赤土には鉄が多く含まれていてその鉄が酸化するすることで赤い土となります。黒土は他の土より腐植性が高く有機物が多く含まれているため黒い土となります。このように土地柄によって土に含まれている鉄の含有量は違います。ちなみに私が住んでいる針尾島は『粘土質の赤土』ばかりです。特徴としては作物がおいしくなりやすいんですが育てるのが少し大変です。特に作物の植え付けや根菜類の収穫は黒土に比べて手間がかかります。なので地域性として果樹が盛んな地域となりました。
三価鉄と二価鉄
鉄には植物が吸収しにくい鉄(三価鉄)と吸収しやすい鉄(二価鉄)があります。成分の違いとしては炭素(たんぱく質)と結合しているかいないかの違いとなります。地球にはたくさんの鉄があると言ったように土壌中にも植物に必要な量の鉄は十分すぎるほど存在しています。ですが土壌中の鉄はそのほとんどが酸化された難溶態の三価鉄であるために植物に吸収されにくく、還元して二価鉄になることによって吸収されやすくなります。その吸収率の違いは5~6倍ほどと言われています。極端に言えば三価鉄では植物に吸収されないと思ってもいいほどです。
三価鉄を植物に吸収させる方法には2つあります。1つは先ほど言った還元によって二価鉄にして吸収させる方法です。もう1つはキレート化しキレート鉄として吸収させる方法です。キレート鉄は比較的新しい成分になるんですがアミノ酸やクエン酸を三価鉄と結合させることにより三価鉄のまま植物内に吸収させることができます。キレートの意味としてはギリシャ語で『カニのはさみ』を意味し、キレート化とは吸収されにくい元素(養分)をアミノ酸や有機酸で挟んで吸収しやすい形に変えることを言います。
少し話しがややこしくなったかもしれませんが知って頂きたいのは鉄はそう簡単に吸収できないということです。
植物における鉄の役割
微量要素ながらも10元素に入っているように植物にとって鉄の役割は大きいものがあります。鉄が植物内でどのように作用しているのか見ていきましょう。

光合成に必要不可欠
光合成といえば植物にとってはなくてはならないものもであり、人で言うと心臓の鼓動だったり食事だったりと生きていくために必要不可欠なものです。さらに植物は光合成により栄養成長や生殖成長が活発化し生産性が向上します。その光合成には鉄の作用が深く関わっています。
光合成は窒素とマグネシウムから作られる葉緑素(クロロフィル)で行われていますが、鉄は葉緑素を作るうえで重要な元素となります。鉄が不足すると植物は葉緑素を生成できずに葉が黄色(クロロシス)になって光合成能力が著しく低下します。細かいことを言うと光合成を行う過程で電子の受け渡しがあるのですがそれには金属が必要となってきます。そこで鉄が作用しています。金属で言えば他の微量要素でも賄えそうな気もしますが金属の中でも光合成の電子の受け渡しについては鉄のみでしか反応ができません。ですので、鉄なくしては光合成が始まらないと言っても過言ではありません。
酵素反応や窒素代謝に関わる鉄
光合成以外にも鉄は植物にとって大事な役割をいくつも果たしています。酸化還元やDNA合成などのさまざまな酵素反応に必要だったり、植物内でたんぱく質(アミノ酸)を合成するための過程である窒素代謝にも鉄が必要となります。
例えば植物の『呼吸』を考えてみましょう。呼吸の過程を簡単におさらいしてみます。まずミトコンドリア内でグルコース(ブドウ糖)が酵素反応で水素(①)を抜かれてビルビン酸へと変わります。ビルビン酸はクエン酸回路へ入り水(H₂O)を取り入れつつ二酸化炭素(CO₂)を排出します。この過程でも水素(②)が抜かれて、最後に抜かれた水素(①)と水素(②)を酸素と衝突させることによって大量のエネルギー(ATP)得るのが呼吸の過程です。鉄は始めのグルコースをビルビン酸に変える酵素反応でなくてはならないものになります。つまり鉄がないと植物はうまく呼吸できずに大量のエネルギーが産み出せないことになります。
窒素代謝で言うと窒素は土壌からたんぱく質の形からアミノ酸、アンモニウムを経て硝酸へと変わり植物内へ吸収されます。そして植物内で硝酸から逆の過程を経てたんぱく質へ作り上げられていきます。この過程で植物内では酵素の働きがあります。元に戻すという意味で『還元酵素』とも言われたりもします。鉄は酵素の働きに大きく関わっていますで硝酸からアンモニウム、アンモニウムからアミノ酸へと1つ1つの段階での酵素反応に必要な元素となります。
安定した鉄の補給のために
たくさん存在しているが吸収しにくい!そんな鉄を効率よく植物に吸収させるためにはどうすればいいのでしょうか。答えは以外とシンプルなことなんです。こんな簡単なこと知らないと損しますよ(^^)v

土づくり
先程、土壌中には植物の生育に必要な鉄の量は豊富にある一方で、そのほとんどが酸化して吸収できない状態だということをご説明させて頂きました。つまり、難しいながらも土壌中でいかに二価鉄の状態にもっていけるかが植物を健全に育てる上で大事なことになってきます。二価鉄にするためには細根が大きな役割を果たします。
土壌中の鉄はほとんどが不溶態鉄として存在しています。名前の通り溶けない形をしている鉄ということです。分かりやすいですね(^^)vそこから細根から分泌される『根酸』によって鉄が溶かされて三価鉄となります。さらに植物が持つ酵素によって細根近くの三価鉄が二価鉄となり植物内へと吸収されます。これが土壌から植物内に鉄が吸収される過程となります。
ここから考えられることは根(細根)を増やせば鉄の供給量が増えるということです。根を増やすためには有機質のものを土壌に与えることです。それは肥料でも土壌改良剤でもいい(できれば両方)ですが、遅効性の有機質を与えることによって細根は養分を求めて広がっていきます。『根づくりは土づくりから』です。植物の根本は土づくりから始まると言っても過言ではありません。
また石灰の撒き過ぎで土壌がアルカリ性に傾き過ぎたり、土壌中にリン酸が多く蓄積していることも鉄の吸収を妨げることになるので注意しましょう。
葉面散布
またか!はだ農園は葉面散布ばっかりだなと言われそうですが・・・やっぱり葉面散布なんです(笑)。鉄に関しては特に葉面散布をお勧めしたいと思います。何度も言いますが葉面散布のメリットは即効性と吸収率の良さです。鉄との相性が1番いいものだと思います。また作物が健全な時はいいんですが曇天続きや乾燥や高温、低温など作物の光合成能力が落ちやすい気象条件の時は根の動きも鈍くなり二価鉄をうまく作れなくなります。そういうときに特に葉面散布による鉄の補給が必要となります。鉄の特性を知ることで葉面散布で要所要所で使うことによって作物を健全な状態保ち、収量や品質をあげることができるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。鉄の特性と重要性が分かって頂けましたか(^^)v
鉄と言えば土壌中に豊富にあって植物にとっては微量要素だからそこまで気を遣って与える必要がないんじゃないかと思ってしまいますが、裏を返せば微量要素ながらも欠乏症が出るほど非常に吸収率の悪い元素だと言えます。
作物が元気な時はいいんです!光合成も根も健全に働いていますから。問題は作物が栄養成長と生殖成長のバランスを崩した時や今後予測される天候の悪化によってバランスを崩しそうな時です。その時に頭の片隅に鉄の補給が入っているかどうかが大事なことなんです。だって鉄がないと葉緑素がつくれないんですよ!葉緑素がないと光合成できないんですよ!光合成できないとグルコース(ブドウ糖)作れませんよ!グルコースないとアミノ酸もたんぱく質も作れませんよ!脅しているつもりではありませんが、そう考えるといかに鉄の働きが大事か分かりますよね。かと言って過剰な鉄の補給はかえって植物のバランスを崩してしまいます。あくまで微量要素です。
鉄のことを正しく理解して要所要所で使いこなせるようになれば作物を上手に長く栽培できるようになりますし、収量や食味が天候に左右されにくくなるはずです。レベルが高い農家さんはそうやって人との違いを出しています。鉄を知り使いこなすことで作物をコントロールする武器の1つとなるでしょう。特別な作物を作るためには鉄が必要なんです(^^)v
質問や感想がありましたら是非コメント欄へお願いします。
それでは、また。


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